5月学校長 挨拶

校長 前 浩輔
 校舎裏の土手に、校務員さんが植えてくださったバラが鮮やかな花を咲かせています。
 生徒の皆さんは中間テストを終えて、次の目標に向かって、頑張っていることと思います。
 さて、私たちは何かの役に立っていると思えるときに、希望を持てるようです。
 ある高齢の女性が癌を患い、余命数ヶ月の宣告を受けたときのことです。その方は、回復の見込がないと分かり、何事にもやる気をなくしてしまいました。そうして、病院の窓から下の通りを眺めているとき、毎朝、多くのサラリーマンが、疲れ切った表情で会社へ通勤する姿を見ました。彼女は翌日から、身なりを整え、車椅子で通りに出て、「おはようございます。」と笑顔で挨拶を始めました。
最初はみんな驚いた様子でしたが、日を追うごとに笑顔で挨拶を返してくれるようになりました。彼女の挨拶は、亡くなる前日まで続いたそうです。
 この女性の挨拶は人を元気づけるためのものでした。この世で過ごせる時間が残り少なくなっても、その残された時間を、誰かの役に立てるように使いたいものです。
 熊本の大友さんという方の短歌が思い浮かびます。「過去は恥 未来は夢と思うとき
命迫れど希望湧きくる」
 皆さんも苦しいときほど笑顔で挨拶をしてみてください。相手を元気づけることで、自分も希望が湧いてくるかも知れません。